「免疫」への関心がそもそも高いアメリカ。
でも、認められるまでには大変な苦労がありました
2020年に入り、取り入れる人が急増中の乳酸菌L-137。実はアメリカでは10年以上も前から注目を集め、“ベストセラー”となっています。
どんな経緯があってアメリカで認知され、活用されるようになったのでしょうか。
前編・後編の2回にわたってお届けします。
ハウスウェルネスフーズ(株)健康素材ビジネス事業部
- 写真左:遠藤武士さん
- 写真右:平山総司さん
日本リーグを経験せず、
いきなりメジャーリーグへ!
遠藤さん:スタートは2008年になります。日本では薬事法の関係で商品に「免疫」の表示ができず、せっかくいい素材なのに一般に紹介するのがとても難しい。それなら日本を飛び越えて、まずは免疫の表示に寛容なアメリカのマーケットを狙おう、と考えたんです。
平山さん:アメリカでは「サプリメントで免疫を高める」という考えは一般的で、市場がとても大きいです。スーパーやショッピングセンターの機能性食品コーナーに『Immunity(免疫)』の棚があるぐらい! もともとサプリメントユーザーは多いうえ、「その20%は免疫系に関心がある」というデータもある。2019年の市場規模は34憶ドル(約3,600億円)です。
遠藤さん:野球でいえば、高校球児が日本リーグを経験せずにメジャーリーグに行くようなものですよね。まずメジャーで成功して日本に凱旋! という思い切った発想でした。
アメリカに行って初めて直面!
乳酸菌L-137に足りなかったもの
遠藤さん:ところが、いざアメリカに行ってみると結果はボロクソでした(笑)。理由は2つあって、1つは当時まだ“ヒト試験”のデータがなかったこと。マウス試験ではデータが取れていて、質の高い論文にも掲載されていたんですよ。だから自信があったのに、アメリカでは全く通用しなかった。「人間が飲むものだから、人間で効果が実証されていないと意味がない」というわけです。もう1つは、乳酸菌L-137が「死菌体」だったこと。今でこそ認知されていますが、当時は「生きた菌(プロバイオティクス)」が主流。「なんでわざわざ死菌化するんだ」と言われましてね。苦しまぎれに「これはユニークなプロバイオティクスです」とか説明するんですけど、よくわからない! と言われてしまって。
平山さん:市場が大きいということは、それだけ競合も多いということ。市場に出ていくこと自体が難しいんです。そして出たとしても、今度は意識の高い消費者がたくさんの選択肢の中から選ぶわけですから、その中で生き残るのはもっと難しいんです。まさにメジャーリーグの世界!
遠藤さん:ニューヨークから入って、シカゴ、ダラス、ソルトレイク、サンフランシスコ……。あちこちの展示会でカンペを見ながらプレゼンして、ダメ出しされて、夕方には飛行機で次の都市へ移動。移動距離も長いんですよ。もういろんな意味でヘロヘロでしたね。早く帰りたいけど成果がないから帰りたくない、みたいな(笑)。でも今思えば、そういう苦労には大きな意味がありました。質の高いヒト試験データを得るきっかけになり、死菌のユニークさや価値も改めて明確にできた。展示会での反応が格段に変わっていったんです。