乳酸菌L-137は、
東南アジアの保存食
“なれずし”から見つかった
小腸に集まる免疫細胞に働きかけ、活性化する乳酸菌L-137。
研究者へのインタビューを2回に分けてお届けします。
1回目のテーマは“L-137はどこからやってきたのか?”。免疫力を高める素材として世に出るまでには、意外な経緯がありました!
ハウスウェルネスフーズ(株) 開発研究所
- 写真左:研究部長 室崎 伸二さん(医学博士)
- 写真右:研究部 第二グループマネージャー 廣瀬 義隆さん(薬学博士・薬剤師)
野菜ジュースになるはずだった!?
廣瀬さん:乳酸菌L-137は、「免疫細胞を活性化する」ということで多くの方に取り入れていただいています。でも私たちがこの素材に出会ったきっかけは、免疫とまったく関係なかったんですよ!
室崎さん:そもそもの話をしますと、乳酸菌L-137はフィリピンのある地方で昔から食べられている保存食から見つかりました。魚と塩と米を混ぜて発酵させたもので、日本の“なれずし(1)”のルーツ。日本の大学がフィリピン大学と食用素材を共同開発するなかで発見したのですが、弊社(2)に譲ってくれたんですね。ちょっとおもしろい乳酸菌がありますよ、ということで。
廣瀬さん:実際L-137は特殊でして、一般的な乳酸菌にはない、デンプンを分解するという性質を持っていました。つまり野菜なんかも分解して発酵できるんです。そこで、最初はこの特徴を活かして、発酵飲料や発酵食品をつくろうとしていました。甘酒とか野菜ジュースとか、お漬物とかですね。だけど、どうしてもうまくいかないんです。おいしくない。商品化できずに何年もたってしまい、どうしたもんかと頭を悩ませていました。そんななか、ちょっと免疫も調べておこうか、という話になったんです。
偶然、免疫活性の力が強いことを発見!
室崎さん:1990年代の前半、弊社ではすでに免疫の研究も始めていて、何か切れ味の鋭い免疫素材はないかと探しているところでした。ちょうど免疫活性の指標となるサイトカインIL-12を測定できるようになった直後でしたから、試しにこの素材でも測ってみたんです。そうしたら、びっくりしました。持っていた乳酸菌のうち、免疫を活性化する力がダントツで強かったんです。(図1参照)
廣瀬さん:あまりの強さに、「これは実験ミスじゃないか?」と疑ったほどでした。それで何度も再試験したのですが、結果は同じ。「他の乳酸菌が弱いだけかも?」とさらに疑って、今度は抗がん作用があって医薬医品として認められている素材と比較してみたのですが、それよりも強かった。これはちょっとすごいぞということで、免疫活性素材としての研究が本格的にスタートしたわけです。本当に偶然でした。
室崎さん:以来25年以上にわたる研究データには、おもしろいのもあるんですよ。例えば養殖ハマチの実験。エサとしてL-137を与えたら、なんと刺身がプリプリになったんです。免疫力が高まると活力は上がると言われていますが、それが魚にも起こったと推測できます。どの研究結果を見ても免疫を活性化しているのは間違いありませんから、今はそれをさらに裏づけたり深堀りしていくような研究段階に入っています。
- (1)日本では滋賀県の「ふなずし」が有名
- (2)ハウスウェルネスフーズ(株)の前身である武田食品工業(株)